前回紹介の「黙祷(2)」は「荘内の旗」に発表したものでした。そこで「荘内の旗」についてご紹介しましょう。この雑誌は牧本進というペンネームを持つ池田勇作が昭和6年鶴岡に立ち上げた「日本プロレタリア作家同盟山形支部準備会」の機関紙なのです。昭和8年3月15日に第一巻第一号が創刊されました。しかし、この創刊号は特高(特別高等警察官のこと)によって持ち去られてしまいました。多喜二のための労農葬を鶴岡でさせないために池田勇作を拘留したついでに。第二号は池田勇作が3月15日の拘置から釈放された(何日に釈放されたかは不明)後4月半頃に発行されたはずです。そこには浮田新一郎作「黙祷(1)」が載っていたはずです。でも、この号は見つかっていません。いくら探しても鶴岡の図書館の歴史資料にも国会図書館にもないのです。たった一冊の第三号が見つかった泉流寺(斉藤秀一:池田勇作を信頼する僧侶で言語学者・エスペランティストで治安維持法犠牲者)にもありません。そんな分けで「荘内の旗」は第一巻第三号(昭和8年5,6月合併号)のみが、しかもこの一冊だけが、今に、池田勇作の魂を伝えてくれているのです。幻となった「荘内の旗」第二号に投稿されたペンネーム浮田新一郎作「黙祷(1)」の内容を思い浮かべながら「黙祷(2)」をじっくりとお読みいただけると幸いです。
次回には池田勇作の奥さん、池田郁についてご紹介させていただきます。
2009年1月3日土曜日
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こんにちは、はじめまして。
返信削除『赤旗』の紹介記事を読んで、こちらのことを知りました。
私は荘内人・岩本成雄(いわもと・せいゆう)の外孫に当たるものです。
いつか私の祖父のHPも作りたいと思っております。その節はこちらで宣伝させていただくかも知れません。よろしくお願いいたします。